園インタビュー
社会福祉法人愛児の会竹野の森こども園
鈴鹿市
- 所在地
- 〒513-0026 鈴鹿市竹野町305番地2
- 連絡先
- 059-384-3215
- 運営主体
- 社会福祉法人愛児の会
インタビュー
- 運営で大事にしていることは何ですか?
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竹野の森こども園他2園を含めた法人全体で大切にしている事は、「楽しくあること」「効率的であること」「多様的であること」です。
保育に対しての保育者側の価値観は多様であり、時代や子どもに合わせていく必要があると考えています。「○○であるべきだ」といったルールで縛るよりも多様な保育の形を受け入れ、子どもが通園したくないと思うようなこと以外は保育士が自由に考えて取り組めるようにします。保育士が子どもたちの心の育ちに最も大切な、日々の保育に集中できるように、行事や事務作業などはどうしても必要なものだけ残し、効率化を図っています。
当園は園長、指導保育士、リーダー保育士、クラス担当保育士、併設の放課後児童クラブや地域子育て支援拠点事業の担当保育士、看護師(非常勤)、事務員、調理員が在籍しています。
組織として、多様な人材を受け入れ、変化に柔軟な対応ができるように法人内の異動を適度に行っています。また、必要時には他園にフォローに入ってもらい、法人全体でバランスを取っています。 - 働きやすい職場にするための工夫、取組みについて教えてください。
また、それらの工夫、取組みによる成果や、現場の保育士の反応等を教えてください。 -
保育士の負担を軽減するために、保育構造について学び、保育の視点を構造化することで、書類作成と行事をシンプルにしました。保育日誌などの書類は簡素にし、子どもの様子を記入する際、個別の視点かクラス全体の視点か、生活・遊び・活動のどの領域かを選択することで、事務の効率化・保育の可視化を実現しました。
ICT化を進めながらも、職員がより使いやすいものを考えてアナログとデジタルを使い分けています。特に、両方のいいところを併せ持ったデジタルペーパーは、午睡チェックリストなどが記入しやすく、俯瞰できてとても有用です。書類の記入方法についても、手順書を配布し、周知しています。
また、コロナ禍を経て、様々な問題に対応していく中で職場環境は大きく変化しました。
大きな行事は子どもにも保育者にも負担になっていたことや、保護者の求めるものが変化していることを踏まえ、休日に行う運動会と発表会をやめることにしました。その代わりに平日の数時間に、保護者の方に我が子の成長を見てもらう機会を作るなど、行事をコンパクトにすることで子どもと保育者の負担も減り、参加できる保護者が増えました。
一番大きな変化をもたらしたのは、職員専用の安全なビジネスチャットツール(以下、チャットツール)の導入です。このアプリはメールより簡単で、電話より手軽なため、職員間のコミュニケーションを円滑にすることができています。効率化・可視化を図り、保育士同士の連携・相談・報告のしやすさと個人情報保護の面で効果を実感しています。
教育・保育計画は法人全体で統一しており、各園の指導保育士が集まる会議で検討見直しを行い、決定した年間計画を基に、月案や週案などを保育士自身が考えることで、日々の保育が子どもたちの育ちに深く寄与するものとなるよう改善を続けています。 - 「就業継続支援」、「復職支援」のために行っている取組み、新任保育士や復職した保育士に対してのフォロー体制について教えてください。
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新任保育士のまとめ役であるリーダー保育士の役割を明確化し、無理のないキャリア形成が行えるよう新任保育士向けのサポート体制を整えています。
採用が決まった保育士には事前にアルバイトに来てもらうこともあり、スムーズに職場になじむことができます。
導入しているチャットツールは、必要時に随時、担当者とダイレクトに連絡でき、相談しやすいことから、職場への定着にも繋がっています。また、新任保育士専用のグループチャットも設けており、必要な情報を共有することが可能です。
潜在保育士や育児休暇後の保育士の復職の際は、まずスポット保育士として週3勤務から始めることで、徐々に慣れていき、常勤になったケースがあります。定年を設けず、多様な人材を受け入れているので、育児を含め保育経験で得た知識を活かして、無理なく長く働けるように環境を整えています。
このようにそれぞれのワークライフバランスに対応できるよう、勤務日数や時間帯に応じた明確な給与体系の下で、扶養範囲内で働きたいなど多様な働き方を、希望に応じて選択することが可能です。 - 子育て中の保育士への対応や、短時間勤務の対応について教えてください。
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育児休暇・介護休暇制度の積極的な活用の推進に加え、傷病休暇や子どもが小学校卒業するまで利用できる「子の看護休暇(有給)」の整備などを通して、子育てや介護をしながらでも、安心して仕事を継続できる環境を整えています。
育児休業復帰に際し、育児短時間勤務等の活用の推進などを通して、希望に添った働き方を選択し、子どもの発熱や行事の際はチャットツールで連携を取って、子育てと仕事を両立できるようサポート体制を整えています。 - 保育士資格のない方も保育補助として働くことができますか?
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可能です。
将来的に保育士試験などにより資格取得を希望する方に対して、できる限りサポートしています。
当園では取得する方がほとんどです。 - 職員研修体制(内部研修及び外部研修支援)、職員に対する相談支援等について教えてください。
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内部研修は法人全体で、年間を通して取り組んでいます。
年齢別担当者カリキュラム研修を初め、アレルギー対応や保護者相談や発達・虐待防止についての研修、保育士同士の実践研修、年末の報告会があります。特に薬剤師による、エピペンの体験実習は子どもたちの命を守るためにとても貴重な研修です。
年度末の研修では、各種休暇制度については、次年度に向けて申請方法などを示した文書を基に説明することで、職員全員が効率的に時間給や休暇を利用できる職場環境を作っています。
会議や研修はそれぞれ勤務内に参加できるように、子どもたちの午睡の時間を利用するなど工夫し、参加できない保育士には情報共有を行っております。
また、自園で撮影・編集した動画を作成し、セキュリティに配慮したオンデマンド配信を行っています。
内容は鍵の開け方や電話転送の仕方など、細かくマニュアル化することで、新任保育士でも分かりやすく効率的に学ぶことができます。その他の保育士にも、実際のライブ映像を使った緊急通報や嘔吐物処理の仕方など、必要な知見や技術の習得のための動画を配信しています。
相談についてはチャットツールで完結することが多く、プライバシーも守られるので、一人で抱え込まず、いつでも相談できる環境を整えています。 - 園の特色、アピールポイントなどを教えてください。
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特色がないことが最大の特色です。
教育・保育計画の作成及び改定を通して、法人内各園で目標や方向性は共有されていますが、どんな道を通っていくかには、“ いま” ここで出会う子どもたちや、担当保育士の個性や特性によって、無限の多様性がうまれるものだと考えています。
その多様性を大切なものとし、変化を受け止め、なにより、それを楽しみながら日々の保育にあたるようにしています。
その上で、小学校・特別支援学校小学部への円滑な接続を意識し、子どもたち一人ひとりの全面的な発達を支援しながら、生涯を通じて続く「学び」の芽生えが豊かなものとなるように、様々な取り組みを行っています。 - 保育士を目指す方、就職・再就職を希望されている方へメッセージ
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「保育の仕事はたのしい」この言葉には重要な枕詞があります。
こどもたちと同じように、一つ一つどの園も特徴や雰囲気が違います。
結局入ってみなければわからないので、先ずはあまり難しく考えずに、直観でいいなと思う園を選んでみてください。
もし自分に合わなければ無理して続けないで、自分に合った他の園を探してみましょう。
「(自分に合った園での)保育の仕事はたのしい」です。